わたしは20年間教習所の指導員をしていました。
教習や検定、講習を担当していました。
講習では高齢者講習も多くの時間担当していました。
講習では所内コースを走行する運転の検査があります。
検査員としてたくさんの受講者の助手席に同乗してきました。
今回は、75歳以上の受講者に同乗していてわたしが感じたことをお伝えしたいと思います。
よろしければお付き合いください。
視線が下がる
助手席に同乗していて『信号が赤ですよ』というアドバイスをすることがありました。
頻繁にではないですが、1週間勤務していたら1回はそのアドバイスをしていました。
高い位置に取り付けられている標識も見落としていることがありました。
止まれの標識に接近しているのに、まったくブレーキを踏む様子がないので、
『止まれの標識がありますよ』
止まりましょうと言うと、『こんなところに標識があったのか!』言ってブレーキをかけます。
信号や高い位置に取り付けられている標識を見落とさないように注意が必要です。
言い訳をすることなく、正直に見ていなかったと言っていただけるのですが、
助手席に乗っていて本当に危ないと感じていました。
対策は、速度を落とすことです。
なぜなら、信号、標識を見落としている受講者の方は速度が速いからです。
速度を控えめにすることで見える範囲が広がって見落としを防止することが出来ます。
右寄り走行
教習所のコースが特別に狭いわけではありませんが、センターライン寄りを走行することがありました。
当然、受講者ご本人さまはセンターラインよりを走行しているとは思っていませんので、走行後の講評で伝えると『本当ですか?』と言われます。
センターライン寄りを走行している方の共通点は、速度が速いことです。
速度が速いことで見える範囲が狭くなっています。
ただ、自分自身で気づくことが難しいので知らない間にセンターライン寄りを走行しているかも知れません。
確認するためには、指導員のアドバイスを聞くことはもちろんですが、
家族や知人が同乗したときに必ず聞くことで確認することが出来ます。
センターライン寄りを走行していることがわかったら、速度を控えめにしましょう。
地面の起伏
講習で使用するコースの中で坂道を通過するのですが、
地面の起伏を感じにくいためか?
下り坂でブレーキを掛けることが遅れることがありました。
当然、個人差があります。
講習は昼間の見えやすい時間帯に走行していましたが、夜間の走行になればもっとブレーキを遅れることが多くなるかも知れないと考えてしまいます。
対策は速度計を見て自分が思っている速度で走行できているか?を常に気にするようにすることで、傾斜地であることを察知することが出来ると思います。
特に夜間に運転する場合は速度計を見る意識が重要だと考えます。
減速の遅れ
交差点手前で速度を落とすことが遅くなり急ブレーキをかけることがありました。
助手席で感じていたことは、明らかにブレーキをかけるタイミングが遅いことでした。
速度を出し過ぎているためにブレーキが遅れるのではなく、明らかにブレーキをかけることが遅いのです。
恐らくですが、ブレーキをかけるタイミングが遅れていることが癖になっていると思います。
年齢と共に反応に遅れが出てしまうものですが、誰からの指摘もないまま何年も運転しているので、気づかない間に癖となっていることが考えられます。
対策は、早め早めにブレーキをかけることを意識することです。
自分では気づかないので家族や知人のアドバイスが必要です。
車間距離が狭い
信号待ちで前車との車間距離が狭くなることは、75歳以上のドライバーに限られたことではないですが、
高い確率で前車との車間距離が狭くなることが多かったです。
たまたまブレーキをかけるタイミングが遅れてしまって、車間距離が狭くなったのかな?と思っていましたが、
車間距離が狭くなっている方は、癖になっていて常に車間距離が狭くなっています。
前の車のタイヤが見えるくらい車間距離を空けておきましょう!と何千回もアドバイスをしてきました。
知らない間に車間距離が狭くなってしまうので、対処策は前の車のタイヤが見えるくらい!がアドバイスとなります。
是非、実践して欲しいです。
上手い!と思っている
これは、男性受講者の方に多かったことです。
昔は大型トラックに乗っていたとかダンプカーを運転していたとか、
昔は教習所はなく、厳しい一発試験で免許を取ったと声を大にして言われる方が多くおられました。
そのような方がクランクコースで脱輪(タイヤが乗り上がること)すると、
いつも乗っている車と違うから!
はじめて通る道だから!
と言い訳をされる方が多かったです。
それから、他の受講者の方に『下手くそ』と思われないために無理をして速度を上げて走行する方もたくさん見てきました。
さいごに
共通して感じたことは、速度が速いということでした。
視力も低下し、反射神経が遅くなっていることを理解していただいている方であっても、
運転をすると長年の癖が染み付いてしまっていて、運転方法を変えることが出来ないことを強く感じました。
3年に1回受講する高齢者講習で、指導員からのアドバイスを素直に聞いていただき、自分の運転方法に取り入れていただくことが出来れば、大きな事故防止になると心より感じております。
今回の記事が参考になりましたら幸いです。もとゆき