今回は20年間指導員をしていた中で、普通二輪の教習生が卒検(試験)前に悩んでいたことをお伝えします。
早速、よく聞かれた3つのことをお伝えします。
以下がその3つです。
- エンストしたら失格になるのか?
- タイムが不足したらすぐ失格になるのか?
- 右足を着いたら失格になるのか?
それでは、これらの3つについて説明いたします。
1、エンストしたら減点になる?
最初に、試験でエンストすると失格になるかどうかについての質問についてお答えします。
結論から言うと、エンストが失格となるかどうかは場所に依存します。
はっきりとお伝えできなくて申し訳ありませんが、試験場所によってエンストが即座に失格につながる場所があります。
それはスラローム、一本橋、踏切通過中のレールの上です。
これらの場所では、たった一度のエンストで試験は失格になるため、特に気をつける必要があります。
この3カ所は注意が必要です!
ただし、この3つの場所以外でエンストした場合、試験不合格にはなりません。
ちなみに、最初のエンストには減点もありません。
減点もないんですか?
そうです、1回目のエンストは減点対象外です。
したがって、気にせずにエンジンをかけて再スタートすれば問題ありません。
ちなみに、エンストがよく発生する場所の一つは坂道です。
坂道では、登り坂の途中で停止し、バイクが後退しないように発進する「坂道発進」が必要です。
坂道発進では、アクセルとクラッチの調整、後輪ブレーキの操作が必要で、これらを同時に行うことがミスを引き起こしやすくなります。
坂道発進が苦手な方が多かったですね。
次に、エンストが多い場所は出発点(発着点)でした。
エンストの一般的な原因は、サイドスタンドを忘れてしまい、ギアを1速に入れたときに安全装置が作動してエンストしてしまうことです。
緊張しているとサイドスタンドを忘れがちで、これがエンストの主な原因でしたが、この場合でも1回のエンストには減点はありません。
ですので、深呼吸して再スタートを切りましょう!
2、タイムが不足したら失格になる?
次に、よくいただく質問として、課題タイムが足りない場合に即不合格になるかどうか、という点があります。まず結論からお伝えしますが、課題タイムが足りなくても、それだけで即不合格にはなりませんので、安心してください。
普通二輪の試験では、タイムに関する課題がいくつか設けられています。
具体的には、『スラロームを8秒以内に通過すること』と、『一本橋を7秒以上かけて通過すること』が求められます。
例えば、一本橋を6秒台で通過した場合、課題タイムに対して1秒足りないことになり、この場合は持ち点から5点が減点されます。
さらに、3秒も足りないとなった場合、15点が減点されることになります。
要するに、タイムが足りない秒数が多いほど、減点が多くなるという仕組みです。
ですから、タイムが足りない場合には、それだけ減点が増えることを覚えておいてください。
もしご自身が減点によって最低合格点を下回ってしまう場合、最悪の場合、その場で試験が中止されることもあることを知っておいてください。
以上のポイントを理解して、試験に臨む際には誤解のないようにお願いします。頑張ってください!
3、右足をついたら失格になる?
最後の3つ目の質問は、『右足をついたら試験で即失格になるのですか?』というもので、これもよく聞かれる質問でした。
早速、結論から言いますが、『右足をついたからといって、試験で即座に失格になることはありません!!』、安心してください。
その通りです!安心してください!
ちなみに、ギアを確認するために右足をつくこと自体が、試験の減点ポイントにはなりません。
何度右足をついても、それだけで減点されることはありません。
減点される場合は、発進時に右足をステップに乗せずに立てたままだったり、ブレーキをかけて停止する際に、右足をついてしまう場合です。
また、後輪ブレーキを正しくかけずに停止することが、不安定な停止とつながり、それが危険と見なされて減点の対象となっています。
ちなみに、前述のような状況で右足をついたとしても、驚くことに初回は減点されません。
本当に減点されないの??
はい、初回は本当に減点されませんので、気にせずに冷静に再発進しましょう。
過去には、この点で大きな誤解をしてしまい、不合格になった方もいます。
いつでも右足をつくと減点されると信じ込んでおり、そのために一本橋通過前に停止して、ギアが正しく入っているかどうかを不安に思いながら発進しました。
その結果、実はギアが2速に入っており、一本橋通過中にエンストしてしまい、失格となった方も何人も見てきました。
繰り返しますが、ギア確認のために右足をつくことは『何の問題もありません』ので、不安を感じたら何度でも確認してください!
さいごに
試験に臨むと、誰もが緊張するものです。
私はこれまで数多くの試験を受けてきましたが、試験を受けること自体が「慣れ」ることはありませんでした。
それどころか、試験前には思い込みからネガティブな方向に考えてしまうことが多かったです。
今回、お伝えさせていただいた「エンスト」「タイム不足」「右足着地」について、多くの方が誤解されていることをとてもよく覚えています。
実際に、これらの点に関する質問が非常に多かったことが印象的でした。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
今回の内容が参考になりましたら幸いです。もとゆき