わたしは教習指導員を20年やっていた経験があります。バイクの卒業検定当日が雨の場合に、教習生が『雨の検定最悪だ』とか『合格する気がしない』というネガティブな発言をしている事を聞く機会が結構ありました。わたしは雨の検定の方がメリットがたくさんあると思っています。今回は、雨検定のメリットについてお伝えします。よろしければお付き合いください。
急制動の課題が楽になる
わたしが雨検定のメリットで1番大きいと感じることは、急制動の停止距離が伸びることです。具体的には、検定車種(大型、普通、小型)問わず晴れ路面よりも3m停止出来る距離が増えることになります。これは大きいメリットになります!!ほとんどフロントブレーキを握ることなく止まることが出来ます。晴れブレーキ配分がフロント7 リア3としたら雨ブレーキ配分はフロント4 リア6で十分止まることが出来ますので、フロントブレーキを握りこむ必要がなくなるで、余裕を持ったブレーキ操作が出来ます。なんども言いますが、速度条件は同じで止まる位置が3m伸びるのは、大きなメリットになります。
一本橋が通りやすくなる
2つ目のメリットはわたしだけが感じていることかも知れませんが、雨路面つまり路面が濡れている方が一本橋は通りやすくなります。なぜ?なのと思われると思いますが、その理由は、路面が濡れている方がタイヤと地面の接触している部分の摩擦が減ることになります。つまり、摩擦が減ることでタイヤを左右に動かしやすくなります。一本橋はバランスを保つために前輪タイヤを左右に小刻みに動かす必要があります。路面が濡れていることで左右にタイヤを動かしやすくなります。体感することが出来ないかも知れませんが、必ずタイヤが動かしやすくなると断言します。
ギャラリーが減る
卒業検定の時に応援してもらった方が良い人もいると思いますが、逆にその応援がプレッシャーになる場合もあります。だいたい検定(試験)を人に見られるという事をほとんどの方が経験をしてこなかったと思います。教習をやっていた時によくあった事は、教習生の真横についてなかなか出来なかったことが、指導員が離れたとたんに上手く出来るという事です。見られていない事でリラックスすることが出来ているのだと思います。教習生からも言われることがありました涙これは、わたし自身にも経験があります。1年に1回、指導員の研修会で指導員同士で運転チェックを行う時間があるのですが、見られていると思うと、いつもの運転が出来なくなり思わぬミスをしてしまうことがありました。逆にわたしがチェックしていた指導員は一本橋で落ちてしまったこともありました。教習所によって違いがありますが、雨が降るとギャラリーの方々のスペースが屋根の下に限られたり、そもそも雨なので応援、見学を諦めてくれたりします。わたしが勤務していた教習所では雨のときは明らかにギャラリーが少なかったですね。
さいごに
バイクで雨となるとネガティブな印象を持つ方が多いです。特に検定(試験)となるとより拍車がかかってしまいます。わたしはポジティブに考えるべきだと思っています。わたし自身が指導員や検定員の資格を取得する際に、雨の試験を経験していますが急制動の距離が伸びることでかなりプレッシャーを減らすことが出来ました。一本橋も同様で一本橋の練習をするときにタイヤが動きやすいようにわざと濡らしていたぐらいです。絶対に雨で濡れている方が一本橋は通りやすくなります。自信を持って言えます!!ギャラリーについては、応援してもらった方が力が出る!という場合もありますので、決めつけることは出来ませんが、指導員でも”見られるプレッシャー”に押しつぶされるときがあるということをお知りおきください。最後までお読みいただきましてありがとうございました。参考になりましたら幸いです。もとゆき