大型二輪、普通二輪の教習をお受けになられている方で、スラロームがうまくいかない、苦手意識を持たれている方もおられると思います。
わたしは教習所でバイクの指導員を20年間担当していましたが、スラロームが苦手な方へ、2つのアドバイスをしていました。
MT車、AT車共通の内容になります。
よろしければお付き合いください。
走行位置
バイクの教習では教習中の事故防止も兼ねて、指導員が見本走行をすることが多いです。
わたしもスラロームの見本走行をよくしていました。
この指導員の模範運転を見ていると、スラロームでは『バイク傾けないといけない!』という気持ちになる方が多かったように思います。
実は、見て欲しい箇所は『指導員の走行位置』なのです!
特に前輪タイヤの通過位置をよく見てくださいとお伝えしていました。
指導員の走行位置を見てみると、パイロン(障害物)とパイロンの真ん中を前輪タイヤが通過しているはずです。
この走行位置が1番バイクが走行しやすい道となります。
なぜなら、バイクとパイロンの間隔を十分に空けることができるからです。
また、教習を受けているときによく聞くことがある言葉で『遠くを見ること』があります。
もちろん、間違っていませんが、この『遠くを見ること』にプラスをしていただきたいことが、
前輪タイヤがパイロンとパイロンの真ん中を通るように走行位置を意識するとパイロンとの間隔も確保して、急な減速をすることがなくなるのでタイムロスを防止することが出来ます。
スラロームには、課題タイム(大型二輪:7秒以内、普通二輪:8秒以内)があるので、タイムをクリアすることは、当然気になるとは思いますが、
まずは、タイムは気にせず、パイロンとパイロンの真ん中を前輪タイヤが通過することに意識を集中してみてください。
繰り返し練習をすることで、通れるようになったらペースを上げていくイメージで
練習をされると良いかと思います。
リアブレーキ
スラロームを走行しているときに、ブレーキをかけて速度を調節する場面があります。
ブレーキを使うときに気を付けたいことは、スラローム走行中の速度調節では『リアブレーキのみ』を使うことなんです。
そんなことは言われなくても知っているわ!と思われる方も多いかも知れませんが、実は教習生さんの多くの方が、スラロームを通過しているときに、『無意識にフロントブレーキ』を使っていることがよくあったのです。
なぜ?フロントブレーキを使うことがいけないのか?
実は、スラローム走行中にフロントブレーキを使うとブレーキの効きが良いために、バランスを崩しやすくなるからなんです。
結果として、バランスを崩したときにタイムロスだけになるなら、まだ良いのですが、最悪の結果は、バイクがパイロンにあたって卒業検定が『失格』になることもありました。
実は、自分自身はフロントブレーキを使っていない、リアブレーキしか使っていない!と思っていても、自転車に乗っていたときのくせのせいなのか?
勝手に『右手がブレーキレバーにかかっている』方をたくさん、たくさん見てきました。
このことからも、スラローム走行中にはかなり意識する必要があると思っています。
タイム
スラロームタイムの課題について触れておきます。
スラロームはパイロンと呼ばれる障害物に接触せずに通過すれば良いだけではなく、大型二輪(MT・AT)、普通二輪(MT・AT)共にタイムの課題と呼ばれるものがあります。
スラロームの入口から、出口までの通過タイムを測ります。
大型二輪は『7秒以内』、普通二輪は『8秒以内』で通過すれば、課題タイムはクリアで減点なしになります。
このタイムのことで、教習生さんからよくご質問いただいたことは、タイムが足りないと、卒業検定では『即失格』になるのですか?ということでした。
この答えは、NO!で、タイムが足りなくても『即失格』になることはありませんのでご安心ください。
タイムが1秒につき5点が減点される仕組みになっています。
つまり、2秒足りなければ10点減点、3秒足りなければ15点減点ということになります。
わたしが卒業検定を担当していた経験からお伝えさせていただきますと、多くの方(おおむね7割くらい)はスラロームでタイム減点になることがありました。
パイロンに少しでもバイクが接触すると『卒検中止』の事前説明を聞いているので、誰でも緊張しますし、スラロームの通過ペースを落とそうと考えた結果だと思っています。
さいごに
バイク教習の中で色々な課題があり、苦手な課題には個人差があります。
わたしの経験では、一本橋とスラロームが苦手と言われる教習生さんが特に多かった印象があります。
今回は、スラロームに苦手意識をお持ちの方への2つアドバイスをさせていただきました。
この2つのアドバイスは指導員をしていたときに、本当によく説明させていただくことがありました。
もちろん、その結果も見届けてきたわけですが、『走行位置を気にするだけでうまく走れた』や『走行位置を気にしたことで逆にタイムが縮んだ』と言われることがありました。
その言葉を聞くことが出来たときは、本当にうれしく指導員冥利につきました。
実は、この走行位置については、バイク免許取得後にカーブ走行などでも必要な技術になると思っています。
だから、バイク免許取得後もぜひ!走行位置を考えて、その走行ライン上を通ることを意識していただければと思っております。
教習所をお探しなら・・・自分好みの教習所を簡単に検索できます
今回の内容が、バイク教習中やバイク免許をお考えの方へ、少しでも参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。もとゆき